コラム フードバンクと居場所
こんにちは、事務局の山内です。
このコラムでは、活動の現場で起こった出来事から、
事務局スタッフとして私が感じたこと、考えたことをご紹介します。
フードバンク活動から見えてくる、「いま」を感じていただけると幸いです。
さて、私たちセカンドハーベスト名古屋(以下2HN)は、企業、個人から寄付いただいた食品を様々な福祉団体や個人へお渡しするフードバンク活動を東海地方で行っています。
(2HNの活動の様子)
ある時、食品を受け取った各団体においてフードバンクからの食品をどのように使っていただいているか、改めてきいてみました。
まず、子どもの支援団体にきいてみました。
「学習支援や居場所で使います!」
この団体では、ひとり親や生活に困窮している世帯の子どもに対して無料の学習塾を開いています。
その休憩時間にスタッフやボランティアが、子ども達と一緒に軽い食事をします。
この食事に、フードバンクからのパンやお茶を活用しています。
スタッフ曰く「勉強だけよりも一緒にご飯を食べることで、子どもが学校や家の話をするなど心をひらいてくれやすくなります!」
次にホームレス状態の方を支援する団体にきいてみました。
「巡回や居場所で使います!」
この団体では、巡回と呼ばれる安否確認や健康チェックのための見回りを、河川敷や公園で行っています。
また、ホームレス状態の方のために一軒家を借り、無料健康相談や食事、シャワーや洗濯ができる環境などを提供しています。
巡回で手渡しをする食品や居場所で作る食事に、フードバンクからの非常食や野菜を活用しています。
スタッフの方曰く「食べ物を持って巡回すると彼(彼女)らが、話を聞いてくれやすくなります。また居場所で一緒に食事をとると、あるとき自分の生い立ちをポロッと話してくれたりもします!」
さらに障害者の支援団体にきいてみましてた。
「就労支援や居場所で使います!」
この団体では障害者の就労支援を行っており、そこでは軽作業や軽い運動等が行われます。
ここで提供するされるお昼ご飯に、フードバンクからのサラダやパン・カレー等を活用しています。
スタッフの方曰く「ここをいつ来てもご飯が食べられる場所にしたいです。ここに来て、働くと、自分が社会に関わっていることを実感でき、ここが居場所になります!」
以上の話をから、フードバンクの食品を各団体とも有効に使ってくださっていることが理解できるとともに、ある共通点に気付きました…
それは、子どももホームレス状態の人も障害者も、「居場所」を必要としていると。
(ある居場所でのフードバンクの食材を使ったごはん)
このキーワードが気になり、色々考えてしまいました。
なぜ居場所を必要としているのか?
そもそも居場所とは何か?
何があれば居場所といえるのか?
そして、最後にこう思いました。
居場所がないのは子ども、ホームレス状態の人、障害者だけの問題なのか。
「子どもは、その社会を映す鏡である」と言われますが、
実は、子どもだけではなくホームレス状態の人や障害者など社会的弱者と呼ばれる人達が、この社会の様子を映しだしているのではないかと感じました。
すると、私たち「普通の大人」も居場所がないと感じ、居場所を求めているのではないか…。
以上は、あくまでも個人的な意見です。
では、最後にこの居場所づくりに、フードバンクがどんなお手伝いができるか、ある福祉団体のスタッフに聞いてみました。すると…
「一緒にご飯を食べることで、その人との距離感、関係性がぐっと縮まります。」
「そんな付き合いを続けていると、あるとき、その人が『私ここに居てもいいんだ』と思ってくれるようになります。」
「それが居場所じやないかと…」
「フードバンクからの食品があると、その関係がとてもつくりやすく、大変助かっています!」と、言っていただきました。
居場所づくりに必要な人と人との関係づくりに、フードバンクの食品が役に立っているとわかり嬉しく思いました。